2014年4月23日水曜日

平成21年第3回 読み取り(2/3) 11 – 20


平成21年第3回 読み取り(2/3) 11 – 20


11.周辺に【陪冢】数基を見る。  【バイチョウ】

【バイチョウ】=大きな古墳に近接してある小さい古墳。近親者や従者を葬ったと伝えるが、特定の副葬品のみを納めたものもある。

「冢」の読みは、「チョウ、つか」。

他の熟語は、
[冢塋]チョウエイ 盛り土をした墓。墳墓。
[冢君]チョウクン 君主。大君。
[冢土]チョウド [冢社(チョウシャ)]土地の守護神。
[丘冢]キュウチョウ [丘墓(キュウボ)]丘のように小高く築いた墓。
[冢中枯骨](ちょうちゅうのここつ) 無能で何のとりえもないこと。墓の中の白骨の意から。「冢」は墓、墓塚。「枯骨」は朽ち果てた骨。



12.下命を拝して【帷幄】に参ずる。   【イアク】

【イアク】=たれ幕。戦場で、幕を張りめぐらし、作戦計画を立てる場所。

[帷幄に参ず](いあくにさんず) 軍事機密の相談に加わる。
「帷」の読みは、「イ、とばり」。周囲を取り巻いて垂らす幕。
「幄」の読みは、「アク、とばり」。上から屋根のようにおおったまく。

他の熟語等は、
[帷幄之臣](イアクのシン) 陣営にいて、作戦計画をたてる臣下。転じて、参謀。
【帷幄上奏】(いあくじょうそう) 明治憲法下、一般の国務外におかれた軍の指揮・統帥に関する事項について、統帥機関たる参謀総長(陸軍)・軍令部総長(海軍)が閣議を経ずに直接天皇に上奏すること。
【帷牆】(いしょう) ひきまくとかきね。近侍の臣妾をいう。
【帷牆の制】(いしょうせい) 君主が近侍の臣妾のために牽制けんせいされること。
【帷を下す】(いをくだす) (帷を下ろして読書をする意から)塾を開いて教授する。
【経帷子】(きょうかたびら) 仏式で葬る時、死者に着せる着物。
【寒に帷子土用に布子】(かんにかたびらどようにぬのこ) 時節はずれの用のないもの。

「帷幄」については、次の有名な言葉がある。

【籌を帷幄の中に運らし、勝ちを千里の外に決す】(はかりごとをいあくのうちにめぐらし、かちをせんりのそとにけっす)
計略・計画の巧みなことのたとえ。戦術に対して、戦略がすぐれていること。
「籌」は計略。「帷幄」は垂れ幕と引き幕のことから、幕を張りめぐらした本陣・本営の意。「千里の外」は遠く離れた場所。本陣の中で作戦を練り、遠くの戦場で勝利を決める意から。「籌策(ちゅうさく)を帷帳(いちょう)の中に運らし、勝ちを千里の外に決す」ともいう。



13【蒼朮】を飲み発汗を促す。   【ソウジュツ】

【ソウジュツ】=キク科植物のオケラの漢名。また、オケラ類の根茎を乾燥した漢方生薬。

「朮」の読みは、「ジュツ、シュツ、チュツ、おけら」。

他の熟語は、
【白朮】(びゃくじゅつ) 中国中部原産のキク科オケラ属植物の根茎の周皮をはぎ除いた漢方生薬。
【朮羹艾酒】(じゅっこうがいしゅ) 薬草を入れた吸い物とヨモギを入れたお酒。「羹」は羹(あつもの)、吸い物のこと。「艾」はヨモギ。中国洛陽(らくよう)で、節句を祝って作ったといわれる。



14【紐釦】に意匠が凝らしてある。【チュウコウ】

【チュウコウ】=ひもを曲げてつくったぼたん。
「釦」の読みは、「コウ、ボタン」。他の熟語は特になし。



15【饕餮】厭くを知らざる人物であった。  【トウテツ】

【トウテツ】=財貨・金銭をむさぼること。
「饕」の読みは、「トウ、むさぼ-る」。
「餮」の読みは、「テツ、むさぼ-る」。他の熟語は、
[饕餮文]トウテツモン 殷・周時代の青銅器など、祭器に使われた模様。饕餮(怪獣の名)の形を模した中国古代固有のもの。邪気をはらう力を秘めたものとされる。

「饕餮」は怪獣の名でもあり、「竜の九匹の子(九子)の一匹で、飲食を好むとされる。殷・周の頃、その姿を銅器などに刻んで飾りとした。」という。


あ・く【飽く/×厭く/×倦く】

1.           [動カ五(四)]
 十分になってもうたくさんだと思う。いやになる。「―・くことを知らぬ金銭欲」
2.           「菜の葉にとまれ。菜の葉に―・いたら桜にとまれ」〈野村秋足・蝶々〉
 満たされた気持ちになる。満ち足りる。満足する。
3.           「恥ぢらひ給ひける御さま、―・かぬ所なし」〈・葵〉
 動詞の連用形に付いて、十分に…する、…することにあきあきする、の意を表す。
「繰り返して読んでも読んでも読み―・かなかった」〈二葉亭平凡〉
[補説]現代、共通語では一般に「あきる」(上一)を用い、「あく」は文章語的な表現。また、「飽くまで」のような形で用いられる。



16.淫祀邪教として【禁遏】を加えられた。  【キンアツ】

【キンアツ】=おしとどめてやめさせること。
[淫祀]インシ まつるべきでない神をまつること。
「遏」の読みは、「アツ、とど-める」。

他の熟語は、
[遏雲]アツウン 空を流れ行く雲までもおしとどめる。すぐれた音楽や歌声を形容する。
「列子」湯問篇の「声振林木、響遏行雲=声は林木を振(ふる)わせ、響(ひび)きは行雲を遏(とど)む」から。
「遏雲の曲」ともいう。流れる雲を止めるという表現はいかにも中国らしい。

[遏絶]アツゼツ おしとどめて物事をさせない。一族を残らず滅ぼす。

四字熟語は、
【遏悪揚善】(あつあくようぜん) 悪をおしとどめて、善を広く天下にあらわすこと。欠点をおさえ、長所を誉めること。
「遏」はふさぎとどめる。「揚」は称揚する。広める。「(あく)を遏(とど)め善(ぜん)を揚()」が書き下し文。

いん 【淫×祀/淫×祠】 : いかがわしいものを神として祭ること。また、そのやしろ。「邪教



17.山の【皺襞】が深い谿を刻している。 【シュウヘキ】

【シュウヘキ】=しわ。ひだ。衣服のしわ、山脈のひだ、舌粘膜のひだなど。
「谿」の読みは、「ケイ、たに、たにがわ」。同義語は「渓」。
「皺」の読みは、「シュウ、スウ、しわ、しわ-む」。

他の熟語は、
[皺月]シュウゲツ 波に映っている月。
「襞」の読みは、「ヘキ、ヒャク、ひだ」。他の熟語は、
[襞襀]ヘキセキ 〈襞積〉衣服のひだ。

たに 2 【谷・渓・谿
山または丘にはさまれた細長い溝状の低地一般に河川浸食による河谷が多い。成因によって川や氷河による浸食谷断層褶曲(しゆうきよく)による構造谷とに分ける。また,山脈沿う谷を縦谷(じゆうこく山脈を横切るものを横谷おうこくという。
高い所にはさまれた低い部分 「波の-」 気圧の-」
二つ屋根流れが交わる所。


One On One より
http://ameblo.jp/wataruyagawa/archive-201301.html
21-③ 山の皺襞が深い谿を刻している。

しゅうへき

問題となっているのは「皺襞(しゅうへき)」。

しかし、なぜか谷ではなく「谿(たに)」を使っている。でいいのに。

21-② 岐岨峰中の浅橋絶壁に沿い深谿に臨んで委蛇屈曲す、

こちらも問題となっていないが、深谿。読みは

×しんこく

○しいけい

谷から「こく」ではない。


21-③ 桃李せいけい
成蹊




18【殄滅】の宿運を免れなかった。  【テンメツ】

【テンメツ】=滅び絶える。また、滅ぼし絶やす。

「殄」の読みは、「テン、つ-きる、つ-くす」。

他の熟語は、
[殄瘁]テンスイ やみ疲れる。人口が減少し国力が衰えること。
[誅殄]チュウテン 罪をせめてほろぼす。
[戡殄]カンテン 皆ごろしにする。絶滅。
[撲殄]ボクテン うち滅ぼす。

「皺」=シュウ、「殄」=テンの読みが難しいですね。



19【鳧脛】短しといえども之をつがば則ち憂えん。  【フケイ】

【フケイ】=カモの足。

出題文の出典は荘子から。
[鳧脛雖短続(續)之則憂]
(かものはぎみじかしといえどもこれをつがばすなわちうれえん)
(意味)カモの足が短いからといって、これをつぎ足して長くしてやれば、カモはかえって困ってしまう。天地自然の物には、それぞれ、それにふさわしい特色があるのだから、むやみに、それを増減したり、改めたりせず、本来の状態に安んじているべきだというたとえ。

「鶴脛雖長断之則悲(カクケイながしといえどもこれをたたばすなわちかなしまん)」とも。
「鳧脛雖短、続之則憂、鶴脛雖長、断之則悲=鳧(かも)の脛(はぎ)短しと雖(いえど)も、之(これ)を続(つ)がば則(すなわ)ち憂へん、鶴の脛長しと雖も、之を断たば則ち悲しまん

「鳧」の読みは、「フ、かも、けり」。

他の熟語は、
[飛鳧]ヒフ 空をとぶ水鳥。
[鳧鴨]フオウ カモやアヒル。また、水に浮かんでいる水鳥の総称。
[鳧舟]フシュウ [鳧船(フセン)・鳧舫(フボウ)]カモの形をした舟。また、カモの形を彫りつけた舟。
[鳧藻]フソウ 喜んで、はしゃぎまわること。騒ぐこと。この「藻」は、噪(ソウ)・騒と同じ。
「鳧(けり)をつける」はよく使う言葉。「けり」は、「物事の結着。きまり。過去の助動詞「けり」に当てて用いられる」。

「脛」の読みは、「ケイ、すね、はぎ」。他の熟語、言葉は、
[脛脛]ケイケイ 正直なさま。まっすぐなさま。
[脛巾]はばき 脚半(キャハン)。すねあて。

[臑脛の延びた奴](すねはぎののびたやつ) いたずらに背丈ばかり高く、物の用に立たない者をののしっていう語。
[長者の脛に味噌をぬる](ちょうじゃのはぎにみそをぬる) あり余った上にさらに物を加える。
[脛に疵持てば笹原走る](すねにきずもてばささはらはしる) 心にやましいところのある者は、ちょっとしたことにもおびえ、世の中をこそこそと生きていかなければならないというたとえ。うしろ暗いところのある者は、風にさやさやと鳴る笹の葉音にもおびえて走り出す意から。
[鶴の脛も切るべからず](つるのはぎもきるべからず) ものにはそれぞれ固有の性質があるから、それを無視してむりに変えようとしてはならないということ。「脛」はすねのこと。長すぎるように思える鶴のすねも、鶴にとって必要な長さなので切ってはならないの意から。「鴨(かも)の足も継ぐべからず、鶴の脛も切るべからず」と続けてもいう。


cf) きょうゆう 〔ケウ ×梟雄】
残忍で強く荒々しいこと。また、その人。悪者などの首領にいう。




20【杙】を以て楹と為す。  【ヨク】

【ヨク】 小さいくいを家の太い柱とする。つまらぬ人間を重く用いることのたとえ。

四字熟語では、
【以杙為楹】(いよくいえい) 小さなくいを大黒柱に用いる。つまらぬ人物を誤って重く用いることのたとえ。「杙」は牛や馬をつなぐ、くい。「楹」は丸く太い柱。「杙(よく)を以(もっ)て楹(えい)を為()す」が書き下し文。
「杙」の読みは、「ヨク、くい」。

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