2014年4月17日木曜日

平成23年第1回 読み取り 2の3 (11 - 20)


平成23年第1回 読み取り 2の3 (11 - 20)

11) 功あって将軍より【偏諱】を賜る。

【ヘンキ】=二字の名のうちの一字を忌み避けて、用いないこと。中国では、人の名をあからさまにいうことを忌む習慣があるが、二字名のときはその両方の字を忌む必要がないとする。

 広辞苑では「(「諱」は名の意) 貴人などの2字以上の名の中の1字。将軍あるいは大名などが、家臣の功ある者、または元服の際などに名の1字を与えた。これを「偏諱を賜う」といい、その時に与えられる文書を名字(みょうじ)状という。」。出題はこの意味ですね。納得。

へんきをたまう【偏諱を賜う】:天皇・将軍・大名などが,功臣や元服した者に名の一字を与える。
 

「諱」の読みは「キ、いむ、いみな」。ほかの熟語は、

【諱忌】(キキ ) さけていわない。おそれはばかって触れない。

【諱避】(キヒ ) いみはばかってさける。さけて触れない。

【不諱】(フキ) 忌みはばかることをしない。上位者に思ったとおりを述べること。死ぬこと。死は人が避けることのできないものであることから。

【犯諱】(ハンキ ) 目上の人の本名をいうこと。「諱(イミナ)」は、死んだ人の生前の本名のこと。中国では、平素は字(アザナ)や号で呼んで名を呼ぶことは避けるのが習慣であった。

四字熟語p342


12)【凶歉】に備えて貯粟する。

【キョウケン】=農作物の出来が非常に悪いこと。はなはだしい不作。
「歉」の読みは「ケン、あきたりない」。

ほかの熟語は、
【歉敝】(ケンペイ )=歉弊。 穀物が不作で足らず、人民が苦しみ疲れること。
【歉歳】(ケンサイ ) 穀物の不作の年。凶年。
【自歉】(ジケン ) 自分自身にひけ目を感じ、満足できない。



13)【幺麼】を重用して朝政を乱す。

【ヨウマ】=価値のないつまらないこと。また、そのような人。
「幺」の読みは「ヨウ」。ちいさいの意。
「麼」の読みは「マ」。こまかいの意。「幺(小さい)+音符麻」。



14) 宦官に【閹奴】を用いる。

【エンド】 「閹奴」=「えんじん(閹人)」に同じ。(日本国語大辞典、以下日国と略す。) 「閹人」=去勢されて宮廷の後宮に仕える男子。閹者(えんしゃ)。宦官(かんがん)。(日国) となっているので、出題文の意味がよくわからないな。



15)【怫鬱】として籠居していた。

【フツウツ】=気がふさいで、むかむかする。
「怫」の読みは「フツ」で、「いかる」の意。



16)【廟謨】既に定まって上下心を同じくす。

【ビョウボ】=(「謨」は、はかりごとの意) 廟堂すなわち朝廷のはかりごと。朝廷の政治の方針。(広辞苑)

「謨」の読みは「ボ、はかる」。ほかの熟語は、
【謨臣】(ボシン ) 巧みなはかりごとを行う臣下。〈類義語〉謀臣。
【謨訓】(ボクン ) 国の大きなはかりごとと、後世の政治の手本となる教え。「聖有謨訓=聖ニ謨訓有リ」〔書経〕



17) 頻りに鴻慈に浴し、未だ【鷁退】の歎有らず。

【ゲキタイ】=(風に強いとされる鷁(想像上の水鳥)が、大風にあって吹きもどされ後退する意)
   六位の蔵人の極臈(ごくろう=最上位)が欠員がなくて五 位に昇ることができず、蔵人を辞さなければならない時、極臈を辞して、末席の新蔵人になること。また、一般に官位の昇進において不遇であることを例えてい う。(日国)

 
出題文は「明衡往来」(めいごうおうらい)という平安末期の出雲守藤原明衡著の消息文例集からと思われる。

げきたい

鷁退とは逆退。ざっくり降格人事。鴻慈とは昇格人事。

どちらも見出し語にないから、まさか対義語で出題されたらビックリ。

One On One  http://ameblo.jp/wataruyagawa/entry-11796172612.html


18) 軍士沢中に於いて馬草を【鎌取】す。

【レンシュ】 「鎌」の読みは「レン、かま」。



19) 朝猿【甍棟】に響き、夜水帷薄に声す。

【ボウトウ】 漢詩からの出題と思われます。

「甍」の読みは、「ボウ、モウ、いらか」。音読みの「ボウ」が問題ですね。
 他の熟語は、
【甍宇】(ボウウ ) かわらぶきの屋根。


朝猿甍棟に響き、夜水帷薄に声す。

「朝猿甍棟に響き、夜水帷薄に声す。」という言葉が出て来た。ネットで調べると出典は、【酬陸長史亻垂詩】 である。

 漢典で「甍棟」を調べると、「屋梁。 南朝  梁  刘孝绰 《酬陆长史倕》诗:“朝猿响甍栋,夜水声帷薄。”」と出て来た。” ”の中は同じ文章だ。「帷薄」も調べると、「帷幕和帘子。」と出て来た。「帘」は「簾」である。

 従って、この文章を訳してみると、「朝に猿の声(中国では、日本の猿と種類が違い、猿のなき声は悲しいものとされている。)が屋梁に響き、夜に水の音が帳(ここでは、寝室のイメージではないかと思うのですが?)のある部屋にいる私のところに聞こえてくる。」ぐらいの意味でしょうか? 


「帷薄」は寝室の薄いカーテンから寝室の意だそうです。
辞書見出し語にありました。



20)【匏瓜】の徒に懸かるを懼る。

【ホウカ】=うりの一種。ひさご。
「匏」の読みは、「ホウ、ひさご」。音符「包」で何とか「ホウ」と読める。

 他の熟語は、
【匏土】(ホウド ) 楽器。「土」は、土でつくった楽器。
【匏繋】(ホウケイ ) 食べられないでぶらさがっているひさご。一か所につながれて、動けないことのたとえ。「匏繋不得従=匏繋従フヲ得ズ」〔陸游〕

参考文献  王粲「登樓賦」に見える風土へのまなざし   文學における南北中國の對立軸の出現  http://dspace.wul.waseda.ac.jp/dspace/bitstream/2065/40700/1/ChugokuShibunRonso_27_Sumitani.pdf
出典は見つけたが、なかなか難しい。

そこら辺のヒョウタンや瓜みたいな奴らと一緒にされてしまうのは嫌だ。
オレは例えるのなら、きちんと浚って綺麗にしてある井戸の様なもの。優れた人材。そのおれみたいな人間をどうして天下は用いようとしないのか。
 匏瓜みたいな人間と一緒にされていたら困るんだ、と我が身を嘆いているようなかんじであろう。私の察する所。


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謝辞
 このブログは、自分のお勉強のために作ったものです。あちらこちらのホームページやブログから気に入った記事をコピーペーストとして作ったものです。作る過程で非常に勉強になりました。
 とにかく分からないことだらけですので、自分なりに大量にいろいろな記事を使っております。それらの記事をお書きになった各位には本当に感謝しております。
 特に新潟漢字同好会様のブログ http://nkd-dogu.blogspot.jp の記事を多く参考にさせて戴きました。改めて感謝申し上げます。
 また、One On One 様、めざせ漢字検定一級 様、 漢字の大海 様 の記事も要所要所で使わせて頂きました。感謝申し上げます。

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