24年第3回
ひょうしつ【評隲】
( 名 ) スル
批評してただすこと。 「彼等の思想,言行を評隲したくなる/吾輩は猫である 漱石」
三毛子は死ぬ。黒は相手にならず、いささか寂寞せきばくの感はあるが、幸い人間に知己ちきが出来たのでさほど退屈とも思わぬ。
せんだっては主人の許もとへ吾輩の写真を送ってくれと手紙で依頼した男がある。この間は岡山の名産吉備団子きびだんごをわざわざ吾輩の名宛で届けてくれた人がある。
だんだん人間から同情を寄せらるるに従って、己おのれが猫である事はようやく忘却してくる。猫よりはいつの間にか人間の方へ接近して来たような心持になって、同族を糾合きゅうごうして二本足の先生と雌雄しゆうを決しようなどと云う量見は昨今のところ毛頭ない。それのみか折々は吾輩もまた人間世界の一人だと思う折さえあるくらいに進化したのはたのもしい。あえて同族を軽蔑する次第ではない。
ただ性情の近きところに向って一身の安きを置くは勢のしからしむるところで、これを変心とか、軽薄とか、裏切りとか評せられてはちと迷惑する。かような言語を弄ろうして人を罵詈ばりするものに限って融通の利きかぬ貧乏性の男が多いようだ。
こう猫の習癖を脱化して見ると三毛子や黒の事ばかり荷厄介にしている訳には行かん。やはり人間同等の気位きぐらいで彼等の思想、言行を評隲ひょうしつしたくなる。これも無理はあるまい。
ただそのくらいな見識を有している吾輩をやはり一般猫児びょうじの毛の生はえたものくらいに思って、主人が吾輩に一言いちごんの挨拶もなく、吉備団子きびだんごをわが物顔に喰い尽したのは残念の次第である。写真もまだ撮とって送らぬ容子ようすだ。
これも不平と云えば不平だが、主人は主人、吾輩は吾輩で、相互の見解が自然異ことなるのは致し方もあるまい。
吾輩はどこまでも人間になりすましているのだから、交際をせぬ猫の動作は、どうしてもちょいと筆に上のぼりにくい。迷亭、寒月諸先生の評判だけで御免蒙こうむる事に致そう。
3)りゅう‐らん〔リウ‐〕【×劉覧/×瀏覧】
[名](スル)
1
くまなく目を通すこと。通覧。「資料を―する」
2 他人を敬って、その閲覧するのをいう語。「―を請う」
4) 【棣鄂の情】(ていがくのじょう)
「常棣」は庭桜(にわざくら)のこと。「鄂」は、花がぱっと開く形容。
庭桜の花は幾つも集まり、外観が非常に美しいことから、兄弟が仲良くしていることの喩え。
兄弟の情のこと。
17)爵禄なる者は人臣の轡銜なり(「准南子」の言葉から)
24−③ 爵禄なる者は人臣の轡銜なり。
ひかん
たづなとくつわの意。
但し、轡(たづな、くつわ)、銜(くつわ)。
爵位と俸禄は、部下をうまく操るためのたづなとくわのようなものという、淮南子から。
18)日麗らかにして碧波氈の如し。
19)冕旒其の頭を束し黼黻其の身を拘す。
三宅雪嶺「我観小景」
冕旒=べんりゅう
冕冠の前後に垂らす、珠玉を連ねた糸状の飾り。
べん‐かん 〔‐クワン〕 【×冕冠】
天皇や皇太子が大儀の際に着用した冠。上部に冕板(べんばん)とよばれる長方形の板状のものをのせ、その前後に5色の珠玉を連ねた糸状の飾りを垂らした。玉冠。冕。
冕
べん‐かん 〔‐クワン〕 【×冕冠】
天皇や皇太子が大儀の際に着用した冠。上部に冕板(べんばん)とよばれる長方形の板状のものをのせ、その前後に5色の珠玉を連ねた糸状の飾りを垂らした。玉冠。冕。
冕
黼黻=ほふつ
黼黻
「黼黻」の音読みが出題された。以前にもでましたね。「ふふつ、ほふつ」。字統で、「黼」を調べると、「形声 声符は甫ほ。[説文]に「白と黒と相次するの文なり」とあり、その文様は斧文ふぶんである。[詩、小雅、采菽さいしゅく、毛伝]に「白と黒と、之これを黼と謂ふ」[爾雅じが、釈器、斧、之これを黼と謂ふ」とあり、両己相背く形のものがそれであるとされる。[書、益稷えきしょく]「宋彝そうい・藻そう・火・粉米ふんべい・黼黻ほふつ」の[弘安国伝]に『黼』を斧形、『黻』を両己相背く形であるとし[詩、毛伝]の説と異なるが、実際詳しいことは知られず ・・・略」
http://octave.blog.eonet.jp/default/2013/02/post-aa31.html
黼黻文章(ほふつぶんしょう): 彩りの美しい模様。
出典:礼記
黼黻昭文
昔、皇帝の礼服の裳に刺繍した文で、黼は白と黒の糸で斧の形、黻は黒と青の糸で弓字が相反し亜字状の文様にぬいとりした。
亜字形の大形墨で殿閣中で刺繍している状を表している。墨形の亜字形も黻との関連で作られたと思える。裏の墨名の入れ方(書体、布置)も前二者と同じである。印に「含英咀華」とある。出所:『文房古玩事典』宇野雪村
http://octave.blog.eonet.jp/default/2013/02/post-aa31.html
黼黻文章(ほふつぶんしょう): 彩りの美しい模様。
出典:礼記
黼黻昭文
昔、皇帝の礼服の裳に刺繍した文で、黼は白と黒の糸で斧の形、黻は黒と青の糸で弓字が相反し亜字状の文様にぬいとりした。
亜字形の大形墨で殿閣中で刺繍している状を表している。墨形の亜字形も黻との関連で作られたと思える。裏の墨名の入れ方(書体、布置)も前二者と同じである。印に「含英咀華」とある。出所:『文房古玩事典』宇野雪村
黼黻
提供: ウィキまとめ
①天子の礼服のぬいとりの模様。②美しい文章のたとえ。
③わきからたすける。▽輔(ホヒツ)に当てた用法。
吾人は一葉女史が『濁江』一篇を読みて深く作者がサイリの眼光と、溢るる如き同情とに服す。女史は小説家として優に其の伎倆滔々たる当世に抽きんず。
桃花流水、悠然として問吟放浪、天地の心に通じ、鬼神の幽と語り、鏗爾と して金石より出ずるが如く、恍惚として天上より来たるが如し、亦一の愉快なるか。若し夫れ哲学が思想の運用に其の能力を縦にすることを得るや、至り極まる 所を知らざるのみ、言えば咎あり、議すれば刑あり、世間無数の悪態、尽く是抑制の現象なり。独り哲理に至りては、其の思想を鶩するや、啻にかの動物の拘牽 を受くることなきのみならず、無辺際を極め、ムリョウゴウを閲し、恢乎たり、廓如たり、物の以て制抑すべきあらず、固より冕旒其の頭を束し、黼黻其の身を拘す、南面百城の以て楽を易うべからざる所なり。余は乃ち愉快をシャリに、取り来たらん。 |
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20)強か呑んで頭岑岑たり。
しん‐しん 【×岑×岑】
29) 陳ねて後矯めんとするがごとし
24−③ 陳ねて後矯めんとするがごとし。
20−② 陳ねて後矯めんとすれば枝折れ枯れ凋む。
ひ・ねる
動詞で「陳(ひ)ねる」とは、年を経る。古くなる、の意。
時間が経ってしまった後で(枝を)直そうとしても、折れて枯れてしまう、という意。
「陳(ひ)ねた子供」とは、大人びた子供のこと。
陳(ひね)は、古くなったもの。従って、陳男(ひねおとこ)とは、老けた男。
陳臭い、とは古くさい、年寄りくさい、今風なら加齢臭…。
「土質があわないためか若木のうちからひねこびれて良材とならなかった」
中山義秀「酒屋」より。
若いうちから老木化してしまった、の意。
陳(ふる)い=「古い」
新陳代謝=新しいものと古いものが入れ替わること。
陳套=ちんとう。古くさい方法。ありきたりなこと。
30)四面遊目に足りて丘壑の富を擅にす
24-③ 四面遊目に足りて丘壑の富を擅にす。
19-③ 擅な批評が飛び交った。
17-② 領主は恣な生活を送った。
16-② 書斎で独り擅な空想に浸る。
一村十二戸、温泉は五箇所に涌きて、五軒の宿あり。ここに清琴楼と呼べるは、南に方りて箒川の緩く廻れる磧に臨み、俯しては、水石の々たるを弄び、仰げば西に、富士、喜十六の翠巒と対して、清風座に満ち、袖の沢を落来る流は、二十丈の絶壁に懸りて、素を垂れたる如き吉井滝あり。東北は山又山を重ねて、琅の玉簾深く夏日の畏るべきを遮りたれば、四面遊目に足りて丘壑の富を擅にし、林泉の奢を窮め、又有るまじき清福自在の別境なり。
尾崎 紅葉 金色夜叉
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