2014年4月17日木曜日

平成23年第2回読み 解説2/3(11−20)




11蓖麻 を栽培して油をとる。
【蓖麻】 (ヒマ)
トウゴマの漢名。

とうごま【唐胡麻】
トウダイグサ科の植物。
アフリカ原産。温帯・熱帯で広く栽培し、熱帯では低木状となるが温帯では一年草。
茎は赤色で高さ23メートル、円柱状中空で節がある。
秋、大きな総状花序を出し、下部に黄色の雄花を、上部に雌花を開く。
球形の果実は表面にとげがある。
種子は蓖麻子(ひまし)といい、インゲンマメに似て光沢があり、猛毒リシンを含む。
ひまし油を製し緩下剤などとする。
唐荏(からえ)。
漢名、蓖麻(ひま)。
<広辞苑第六版>

「萆麻」とも書く。
「蓖」は連綿字なので単体で意味を持たない。

漢字と無関係だけど、ポパイの恋人のオリーブ・オイルの兄の名は「キャスター・オイル(Castor Oyl)」。
この名前は、上述の「ひまし油」の英名「Castor oil」に由来するそうな。

              wikipedia:蓖麻
              画像検索:唐胡麻



12農民たちは 翕然 として一揆を結んだ。
【翕然】 (キュウゼン)
多くのものが集まって一つになるさま。また、一致するさま。「―として旗下に集まる」「同情が―として集まる」
<広辞苑第六版>

翕(あつ)まるがごとく然(しか)り。
翕(あ)うがごとく然(しか)り。


13闃寂 とした夜の巷を歩む。
【闃寂】 (ゲキセキ)
しずかでさみしいこと。
<広辞苑第六版>

闃(しず)かで寂(さみ)しい。

「ゲキジャク」と読まないように要注意。
「寂」は漢音で「セキ」と読む場合と、呉音で「ジャク」と読む場合がある。

仏教用語の場合は「ジャク」で読めばよい。(寂光土、入寂など)
それ以外の場合は単語ごとに覚えるしかなさそう。

              類義語
 静寂

【闃】
              部首: + 9
              総画: 17
              異体字 :
              漢検配当:1級


読み
              音読み
  ゲキ
              訓読み
  しず()

字義
しずか。
人けがなくひっそりしたさま。
例:「闃然(ゲキゼン)」


解字
形声。「門+(音符)(ケキ)」











14)古人の意を知って 説懌 する。
【説懌】 (エツエキ)
「悦懌」とも書く。
しこりがほぐれてよろこぶ。

「説ぶ」「懌ぶ」「悦ぶ」はすべて「よろこぶ」と読む。

「セツタク」と読まないように注意。
「説」は「悦」の通用字。
「説(よろこ)ぶ」の意味で用いる場合に限り「エツ」と読む。

              類義語
 悦喜(エッキ)

【懌】
              部首: + 13
              総画: 16
              漢検配当:1級


読み
              音読み
  エキ
              訓読み
  よろこ() たの(しむ)

字義
よろこぶ。
しこりが解けてさっぱりする。
心の緊張が解ける。
類義語:悦


解字
会意+形声。「心+(音符)睪(エキ)」。
「睪」は「目+幸」。[]は手かせを意味し、[]は罪人をひとりずつ並べて面通しをすることを意味する。転じて「つぎつぎと」の意を持つ。
「懌」は心のしこりが一つ一つ解けてさっぱりすること。





セツ ゼイ 外:エツ
とーく





意味
説明する、述べる、論う、教え諭す、、説き伏せる、告げる、解き明かす、赦す、という意味がある。〔説文解字〕には「くなり」「一にく談するなり」とある。
また悦と通じてよろこぶ、たのしむ、税と通じて、取り去る、やどる、脱と通じて、脱ぐ、という意味がある。
字形
符は
音訓
音読みはセツ、ゼイ、エツ、ダツ、訓読みは、とく、よろこぶ。名のりに、あき・かぬ・かね・こと・つぐ・のぶ・ひさ、などがある。
規格・区分
常用漢字であり、小学校4年で習う教育漢字である。JIS X 0213第一準。
・説客・説教・説示・説辞・説得・説難・説破・説伏・説法・説明・説諭・説・説話



15)同異を剖析し、是非を 甄別 する。*1
【甄別】 (ケンベツ)
人の賢否(けんぴ)をはっきりと見わけること。人才をえらぶこと。
<広辞苑第六版>

甄(みわ)けて別(わ)ける。
(原文)異なれる境遇における異なれる経験より獲得せる極めて多くの異なれる事理を彙集し、同異を剖析し、是非を甄別し、もって至大の道理に帰趨するは、真を極むるの要道なり。『真善美日本人(著:三宅 雪嶺)』
【甄】
              部首: + 9
              総画: 14
              漢検配当:1級


読み
              音読み
1.ケン
2.シン
              訓読み
  すえ つく() みわ(ける) しら(べる)

字義
1.①陶器をつくる。
   また、陶器をつくる職人。
  例:「甄陶(ケントウ)」

  ②粘土で陶器をつくりあげることから転じて、
   優秀な人材を育てる。

  ③ものの優劣を見わける。
  例:「甄別(ケンベツ)」

  ④戦争のときの軍の陣形。
  例:「左甄(サケン)」

2.ふるう。
「震」の通用字。


解字
会意。「瓦+」。
[]は土器、[]は煙を意味し、火をもやして土器をやくことをあらわす。

補遺
              訓読みの「すえ」について

すえ【陶】
やきもの。陶器。すえもの。
<広辞苑第六版>




16群鳥 胙余 を幸いに云う。*
【胙余】 (ソヨ)
供え物の肉の余り。
「胙」は「ひもろぎ」、すなわち、神に供える肉のこと。

【胙】
              部首: + 5
              総画: 9
              漢検配当:1級


読み
              音読み
 
              訓読み
  ひもろぎ そなえもの

字義
①ひもろぎ。
祭りのときに、かさねて神に供えた肉。
ひもろぎ【神籬】
往古、神霊が宿っていると考えた山・森・老木などの周囲に常磐木(ときわぎ)を植えめぐらし、玉垣で囲んで神聖を保ったところ。
後には、室内・庭上に常磐木を立て、これを神の宿る所として神籬と呼んだ。
現在、普通の形式は、下に荒薦(あらこも)を敷き、八脚案(やつあしのつくえ)を置き、さらに枠を組んで中央に榊(さかき)の枝を立て、木綿(ゆう)と垂(しで)とを取り付ける。

ひもろぎ【胙】
(神籬(ひもろぎ)に供える物の意から)神に供える米・餅・肉など。
<広辞苑第六版>

              wikipedia:神籬
              画像検索:神籬

②お供えをして、神の恵みにむくいる。
また、客が主人に返杯する。
同義語:酢

③しあわせ。恵みを与える。
同義語:祚


解字
形声。「肉+(音符)乍」

(原文)自唐夔州刺史李貽詩已云「羣烏幸胙餘」矣。『入蜀記 巻六(著:陸游)』




17)童奴は 哂笑 し妻子は詈る。
【哂笑】 (シンショウ)
ばかにしてわらう。あざわらう。

「哂う」「笑う」ともに「わらう」と読む。
読み
              音読み
  シン
              訓読み
  わら() あざわら()

字義
①わらう。
しっと歯の間から息を出して含みわらいをする。
ほほえむとき、失笑するときの両方に用いる。


解字
会意+形声。「口+(音符)西」。
[西]はざるを描いた象形文字で、「隙間から漏れ去る」という意味を持つ。
「哂」は口もとから息が漏れること。
(原文)童奴哂笑妻子罵, 一字不給饑寒驅。『少年行贈袁養直(著:戴表元)』





【詈】 12画 (5) 1級

[音]
[訓]ののし

《意味》
ののしる。けなす。悪口をいう。

【詈る】ののしる
  1. 大声をあげて騒ぐ。どなる。
  2. 大声で非難する。しかる。また、非難の気持ちをこめて悪口を言う。

詈】ばり
口汚くののしること。また、その言葉。
謗】ばりざんぼう
ありとあらゆる悪口を言うこと。また、そのことば。
「罵詈」は口汚くののしること。「讒謗」はそしること。
悪口雑言あっこうぞうごん」「罵詈雑言ばりぞうごん
「讒謗罵詈」ともいう。
詈雑言】ばりぞうごん
ありとあらゆる口ぎたない、ののしりの言葉。
「罵詈」は口ぎたなくののしること。「雑言」はいろいろな悪口や、でたらめな言いがかり。
悪口雑言あっこうぞうごん」「罵詈ばりざんぼう

《字源》
「网(もう)+言」
「言」「辛(しん)+口」
「辛」入墨いれずみに用いる針の形。「口(さい)祝詞のりとを収める器。
盟誓のとき、もし違約したら入墨の刑を受けるという誓約の意で、その盟誓の器の上に「辛」をそえる。その盟誓の言葉を「言」という。
その盟誓を収めた器の上に「网(あみ)かぶらせるのは、その誓約を無効とする呪的な行為。

18杲乎 として天に昇るが如し。
【杲乎】 (コウコ)
高いさま。

「乎」は形容詞、副詞のあとにつけて、その状態であることを表す助詞。
すなわち、杲(たか)いさま。

【杲】
              部首: + 4 画(一部の辞書(「漢字源」など)では
              総画: 8
              漢検配当:1級


読み
              音読み
  コウ
              訓読み
  あき(らか) たか()

字義
①あきらか。
太陽が白く輝くさま。

②たかい。
類義語:高

(日本のみ) 群馬県の地名「杲(ひので)」。


解字
会意。「日+木」で、太陽が木の上にあるさまをあらわし、
白く明るい意味を含む。
(原文)杲乎如登乎天。『管子 内業 第四十九篇』


【辞典P484】 杲杲(こうこう) 日の光が杲(あき)らかに輝く 
様子
 「杲日(こうじつ)」は「(明るい)太陽」のこと。
 【辞典P484】 杲乎(こうこ) 杲(たか)いさま
 「読み」で要注意。



19鴻雁(こうがん)翔天の翼あれども 栩栩 の捷なし
【栩栩】 (クク)
飛ぶ羽のように、のびのびと活発に動き回り、うれしげなさま。
「栩栩然(ククゼン)」も同義。

「栩栩」は連綿語であり「栩(くぬぎ、とち)」の意味とは無関係。

【栩】
              部首: + 6
              総画: 10
              漢検配当:1級


読み
              音読み
 
              訓読み
  くぬぎ 、とち

字義
①くぬぎ。
ブナ科コナラ属の落葉高木。
材を薪炭などに用いる。
別名、櫟、柞、杼

              wikipedia:クヌギ
              画像検索:くぬぎ

②「栩栩然」の連綿字。

(日本のみ) とち。
トチノキ科トチノキ属の落葉高木。
人名にも用いられる。
例:栩野(とちの)、栩原(とちはら)

しょう【×捷】
[人名用漢字] [音]ショウ(セフ)(呉)(漢) [訓]かつ はやい
戦いに勝つ。勝ちいくさ。「捷報戦捷大捷」

動きが速い。すばやい。「軽捷敏捷」

ちかみち。「捷径」


原文)鴻雁翔天の翼あれども栩々(くく)の捷(しょう)なく、丈夫千里の才あって里閭(りりょ)に栄少し、十銭時にあわず銅貨にいやしめらるなぞと、むずかしき愚痴の出所はこんな者と御気が付かれたり。『突貫紀行(著:幸田 露伴)』




20)宮廷の花木嬋妍として 朝暾 に媚ぶ。
【朝暾】 (チョウトン)
あさひ。
<広辞苑第六版>

朝の暾(あさひ)。

              類義語
 朝旭(チョウキョク)。朝陽(チョウヨウ)。
【暾】
              部首: + 12
              総画: 16
              漢検配当:1級


読み
              音読み
  トン
              訓読み
  あさひ

字義
まるい朝日。
まんまるい朝日のさしのぼるさま。


解字
会意+形声。「日+(音符)敦」でまるい太陽をあらわす。
[]は「まるくずっしりした」の意。

こ・ぶ【×媚ぶ】

[動バ上二]「こ(媚)びる」の文語形。

こ・ぶ 【媚ぶ】
自動詞バ行上二段活用
活用{び/び/ぶ/ぶる/ぶれ/びよ}

(男に対して、女が)なまめかしい態度をとる。こびる。


出典霊異記 上


「その女、男にこび」


[] その女は、男になまめかしい態度をとり。

(多く、上位の)相手に気に入られるように振る舞う。へつらう。


出典徒然草 一三四


「人に恐れ、人にこぶるは、人の与ふる恥にあらず」


[] 人を恐れ、人にへつらうのは他人が与える恥ではない。



せん‐けん【××娟/××妍】




    [ト・タル][文][形動タリ]容姿のあでやかで美しいさま。
    「都育ちの―たる手弱女(たおやめ)を」〈太宰・右大臣実朝〉


大部分を 漢字の大海 より  http://www38.atwiki.jp/houji/
 良い勉強になりました 

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